運輸安全マネジメントにおけるPDCA

PDCAサイクルとは?

PDCAサイクルとは、ビジネスにおける仮説・検証を繰り返すフレームワークの一つです。
Plan(計画) Do(実施) Check(評価) Act(改善)の頭文字をとったものです。
目標を設定し計画を立案→その計画を実施→実施した内容を評価→内容の評価を基に改善→新たな目標を設定し計画を立案→・・・以下このサイクルを繰り返すことにより、マネジメントの質を高めていきます。

運輸安全マネジメントにおけるPDCA

それでは、運輸安全マネジメントにおけるPDCAを見ていきましょう。

Plan(計画)

 プラン作成に関して、重要なことは、①会社の経営理念を反映した内容にすること、②目標は具体的かつ定量的なものであること、③達成可能であることが重要です。
 ①に関しては、単なるきれいごとでは従業員は、押しつけと感じることもありますが、常日頃、経営理念を随所に貼り出したり、朝礼などで唱和させるなどして、周知しておけば、従業員の納得を得やすくなります。
 ②に関しては、チェックの段階で達成度が曖昧にならないように具体的な数値目標を設定すべきです。これは、管理者、従業員共にメリットがあります。
 ③に関しては、『D』にも関係しますが、あまりに現場の状況とかけ離れた理想論を掲げられては、現場の士気は確実に減退してしまいます。まずは、自社の現状を正確に把握することに努めましょう。
 また、運輸安全マネジメントは短期的に達成できるものと長期にわたるものがあるので、プランは、短期的なもの、中期的なもの、長期的なものと複数のレベルで設定するのが望ましいです。

Do(実施)

 プランの実施は、安全統括管理者を中心に、まさに現場の仕事です。この際、管理者以外の従業員にも役割と責務を持たせ、プランに参加しているという自覚を持たせるのが良いと思います。
 また、目標を達成したときには、報奨金を出すなどきちんと評価することも大事です。そのためにも、プラン作成の段階で、経営トップは現場の状況をある程度把握しておき、従業員が達成可能であると思える目標を理解しやすい数値で示し、従業員のモチベーション維持することが大切です。

Check(評価)

 評価には、自社の従業員における内部監査と外部の専門家に依頼する外部監査があります。上記いずれにおいても、監査員に独立性が認められなければ、絵に描いた餅となってしまい実効性がありません。
 また、目標が抽象的だった場合、その評価が監査員によって異なることも考えられます。よって、この評価を効果あるものにするためには、経営トップのプラン作成時の目標の具体化と忖度なく監査を行える組織作りが肝要となります。

Act(改善)

 評価で明らかになった問題点を、現状に照らし合わせて改善プランを作成します。
達成できた項目に関しては上方修正した目標を、未達成の項目は下方修正しつつ前回のプランを踏襲する等の対策を講じます。
 ここで大切なことは、マネジメントレビューの結果を必ず文書に残し、経営のトップが保管することと、レビューの結果を必ずフォローすることです。PDCAサイクルは一巡で終わるものではなく、一つ一つ積み上げていくものです。サイクル①、サイクル②、サイクル③…、これらが互いに独立し直線的平面的に並んでいるものではなく、それぞれが密接に関連しらせん状に上昇していくものだと考えられます(下図を参照)。

PDCAサイクル図
pdcaサイクル

上図のように直線的・平面的なものではなく

pdcaスパイラル

のように立体的・らせん状のものと考えられます。

ガイドラインの14項目とPDCAサイクルの関係

最後に、前の記事で解説した、運輸安全マネジメントのガイドラインの14項目とPDCAサイクルの関係を図で説明します。

14項目とPDCA

図のように、14項目がキレイにPDCAサイクルの中にはまります。
実はガイドラインの14項目は、PDCAを意識して作られたものなのです。
皆さんの会社でも、運輸安全マネジメントを活用して、運送の安全確保の体制をつくりあげてください。

運輸安全マネジメントについて興味のある運送事業者様は、当事務所にご相談ください!